鉄道捜査官13「殺意の密室車内パーティ!益子焼の里を走るSL特別ダイヤの謎」

■あらすじ
警視庁鉄道捜査隊東京駅分駐所に所属する鉄道捜査官・花村乃里子(沢口靖子さん)は、栃木県警から後輩の捜査官・立花広太郎(金子昇さん)の身元確認の電話を受けて驚く。立花は非番の日に、SL列車が走る“真岡鐵道”の写真を撮りに行ったところ、土手の下で後頭部から血を流した若い女性・松田由紀(宮地真緒さん)が倒れているのを発見し、その犯人かと間違えられてしまったのだ。
調べた結果、由紀はその日の朝、東京都内に住む恋人・雨宮慎一郎(古澤蓮さん)のもとから栃木県内の自宅に戻ったばかりとわかる。だが、立花から連絡を受けた乃里子と望月春樹(長谷川朝晴さん)が事情を聞こうと彼のマンションに急行すると…なんと雨宮は刺殺されていた!
病院で意識を取り戻した由紀は、見知らぬ男に襲われ、逃げる途中に土手から転落したと話すが、栃木県警は、別れ話の末に由紀が雨宮を殺害した後、自殺未遂を図ったものと疑う。だが立花は、恋人の死に大きなショックを受ける由紀の様子を見て憤慨。彼女が無実を主張していることを立花から聞いた乃里子たち分駐所の面々は、独自に捜査を開始することにする。
  
殺された雨宮は、ルポライターとは名ばかりの情報屋で、社会派ノンフィクション作家・佐藤謙(小木茂光さん)の“下調べ役”をしていたらしい。その佐藤は「雨宮なんて男は知らない」と関係を否定するが、雨宮の仕事仲間・金谷俊一(岡田浩暉さん)によると、佐藤は現在“日本のフィクサーたち”というシリーズを連載中で、来月号でファッション業界の陰の実力者・堀場達夫(寺泉憲さん)の実態を暴露するべく、雨宮に堀場の下調べを依頼していたとわかる。堀場という男は警視庁捜査二課の元捜査官で、表向きは“堀場プロダクション”という会社を経営していたが、その実態は全くの謎だった。
かつて捜査二課で堀場と同僚だった分駐所課長・野川一郎(筧利夫さん)によると、堀場は職務で知り得た情報をネタに恐喝を繰り返し、巨額のウラ金を得ていたという。しかしその事実は警視庁上層部によって隠蔽され、堀場は依願退職という形で警察を去った。野川と共に、堀場社長を直撃する乃里子。堀場は一見気さくな人物だったが、由紀の名前を出したとき、その表情がわずかに反応したのを、乃里子は見逃さなかった。
そんな折、佐藤のもとに「連載を中止しろ。さもないと死ぬことになる」という脅迫状が舞い込む。堀場からの脅しと思われたが、佐藤はなんとその堀場プロダクションの“創立10周年記念イベント”に招待され、会場となる真岡鐵道に乗り込んでいた。乃里子たちは佐藤の身辺警護のため同乗するが、その矢先、第二の殺人が起きて…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)

雨宮の件で佐藤を訪ねた乃里子たち。
そこでバイクを磨く金谷に出会う。
乃里子は金谷のバイクに感心する。

2年前、由紀の姉・亜紀が謎の自殺を遂げていたことが判明。
亜紀は堀場のプロダクションにモデルとして所属していた。

調べたところ、亜紀の自殺が代議士・服部に捨てられたことを苦にした為と分かる。
どうやら、堀場が服部に亜紀を近づけ、妻帯者である服部がこれにかかるや、不倫をネタに脅迫したらしい。
これに屈した服部は堀場に金を渡し亜紀と別れた。
こうして亜紀は自殺したのだ、妊娠2ヶ月だったと言う。

 

■佐藤に脅迫状が届く
佐藤の事務所に脅迫状が届いた。

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「連載を中止しろ、さもないと佐藤謙は死ぬことになる。」
ところが、佐藤は堀場の主催するパーティーに参加すると言って聞かない。
仕方なく、佐藤の警護に赴く乃里子たち。

 

■堀場のパーティーと第2の殺人
堀場のパーティーは貸し切りのSL列車でカクテルパーティーを楽しみながら益子町まで行き、そのあとは堀場社長の別宅で盛大な宴会を楽しむという内容です。

ところが、堀場が途中退席し、そのまま殺害されてしまう。
この報を受け、妻である弓枝は錯乱状態に陥る。
パーティー参加者は堀場以外には誰1人として席を外しておらず、参加者の中に犯人は居ないと思われた。
弓枝によれば、堀場は益子に到着する直前に何者かから連絡を受けていたようだが……。
そんな中、堀場殺害の現場付近から由紀らしき女性が逃げたとの目撃情報が。
乃里子は由紀の行方を追う。
そこへ、当の由紀から電話がかかって来る。
何でも、「長い石段、古い三重の塔、閻魔堂の場所に居る」と言う。
西明寺に違いないと判断し、駆け付けた乃里子たちは由紀を保護する。

由紀によれば、謎の人物から電話があり殺害現場に呼び出されたらしい。
これを聞いた乃里子は真犯人の罠に違いないと断言する。
しかも、由紀はかかって来た電話を録音していた。
この録音を科捜研に提出し調べることに。

ところが、由紀は所轄署に連行されてしまう。

録音データを調べたところ、電話の主は南関東の人間と判明。
その背景に都電荒川線の音が入っていたことから、佐藤事務所の人間が疑われる。
だが、当の佐藤はパーティーに参加すべく移動中だった筈、該当するのは金谷しかあり得ない。

ところが、金谷はアリバイを主張。
東北新幹線で東京に戻ったと言うのだ。
金谷の証言が事実ならば犯行は不可能だ。
乃里子はこの鉄壁のアリバイに挑む……。

乃里子は金谷の行動を再現。
見事にアリバイを崩すことに成功する。

堀場の屋敷を訪ねた乃里子は、弓枝に金谷について問う。
知らないと答える弓枝。
どうやら、弓枝は屋敷を出るようだ。
なんでも、弓枝は実の妻ではなく、内縁の妻だったらしい。

 

■堀場プロダクション解散
堀場プロダクションが解散することが判明。
堀場は部下を信用しておらず、データを自宅PCにのみ保存していたがそのPCが盗まれたらしい。
これにより物理的にプロダクションを維持・運営できなくなったのだ。
弓枝によれば、誰が盗んだか分からないと述べる。
野川はPCを盗んだとしてパスワードを解除できるのかと疑問を呈する。

 

■真犯人の正体
数日後、弓枝は金谷を呼び出していた。
バイクでやって来た金谷に1億円を渡し、海外へ逃亡するよう勧める弓枝。
其処へ、乃里子たちが現れる。
堀場のPCを盗んだのは弓枝だと指摘する乃里子。
弓枝だけが堀場のPCを自由に使えるのだ。
何故ならば、堀場にPCの使い方を教えたのは弓枝だった。
パスワードも知っていたのだ。
弓枝は堀場の持つ情報を奪い裏ビジネスを引き継ごうとしていたのだ。
自身のアリバイを主張する金谷だったが、アリバイは既に破られていた。
JR水戸線は単線。
上りも下りもほぼ同時刻に発車する。
上りに乗ったと見せかけて、下りに乗車。
途中でバイクを使いショートカットして、不可能を可能にしたのだ。
その後、堀場を呼び出し殺害したのだった。
雨宮を殺害したのも金谷だった。
当初、堀場の殺人計画に参加していた雨宮。
だが、由紀を本気で愛したことで計画から離脱したいと言い出す。
これに危機感を持った金谷は雨宮を殺害したのだった。
そして、由紀を襲撃したのである。
すべて弓枝の指示に従ったと語る金谷。
金谷は雨宮の撮影した堀場の写真に写っていた弓枝に心奪われた。
佐藤から弓枝が内縁の妻であると聞かされた金谷は佐藤のアドバイスで彼女に接近。
誘われるままに堀場殺害計画に参加したのだ。
逃げ出そうとする金谷の前に現れる野川。
野川はこの犯罪にはもう1人加わっていると語る。
「佐藤さん!」「さと~さん!!」「さと~~~~~~~~さん!!!」

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野川の呼びかけに応じ、影から現れた人物……それは佐藤だった。
今回の黒幕は佐藤だったのだ。
佐藤は弓枝を使い、金谷を利用したのである。
昔こそ情熱のあった佐藤だったが、いつの頃からか手抜き原稿でごまかすようになった。
佐藤の真実は、高名な作家などではなく、いかにも本物のふりをして、ニセモノを売っている詐欺師みたいな人間。
そこで、新しいビジネスを模索し、堀場の裏ビジネスを引き継ぐことにしたのだ。
表向きは合法ビジネスで、社長は弓枝、佐藤が相談役。
佐藤は弓枝の首にナイフをあてて人質にとって逃亡を図るが、乃里子がカバンを投げつけ、ひるんだところから格闘戦に持ち込む。

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佐藤は乃里子と格闘するも、取り押さえられて逮捕される。
弓枝は日陰者の身を嘆いて佐藤の計画に乗ったらしい。
そんな弓枝に自分の足で立つべきだったと諭す乃里子。
真犯人が捕まったことで由紀は釈放された。
そして、今日もパトロールに勤しむ乃里子たち。

■感想
西村京太郎先生原作の「鉄道捜査官」第13弾です。
前作は2011年4月30日に放送されており、1年ぶりのシリーズ新作となりました。
前作についてはまだ書いていませんね。
佐藤、弓枝、金谷とよもやの怪しい容疑者全員が犯人パターン!!
これには驚きました。
金谷と弓枝は犯人だろうと思っていたのですが、もう1人居るとは……。
金谷は放送開始直後にバイク磨きシーンが出たので第1容疑者。
その後、乃里子たちを駅で見送ったので犯人確定(本シリーズは時刻表トリックがメインなので、他の交通手段やアリバイトリックに関わるものが出ればほぼ犯人)。
弓枝は直接的な利害関係者であること、本シリーズが妻が犯人パターンが多い事からほぼ犯人確定。
ところが、佐藤には気付かなかった。
これにはしてやられました。
本来ならアンフェアだ……と騒ぎたいところですが、このシリーズでは許せてしまう不思議。
作品の持つ雰囲気の為せるワザでしょうか。
そして、何気に笑いどころを作ってましたね。
野川の「さと~~~さん!!」には爆笑、あれは間違いなく狙ってますね。
あのシリアスシーンでギャップを狙うとは……